思い出の味と匂いに包まれて【セレモしんこう】

結婚してから何度も夫婦で通ったラーメン屋さん。

元気になったらまたお店に中華そばを食べに行こう。

その約束を大切にします

二人で通ったお店

70代で旅立たれた奥様。

亡くなった奥様は宮城県の海沿いの街で生まれ、茨城県へ越してきました。奥様とご主人は仕事関係で知り合い結婚され、三人の子宝にも恵まれました。ご夫婦は仲が良く、二人でよく出かけていたそうです。隣町にある地元で評判のラーメン屋さんには週に何度も通われていました。

そのお店の中華そばがお二人は大好きでした。 奥様が病気で入院された後、元気になったらまた一緒にあの中華そばを食べに行こうと二人で話していたそうです。残念ながらその願いは叶うことはなく、奥様は旅立たれました。

葬儀社からのサプライズ

告別式の最後のお花入れの時間。ご家族には秘密で、あのラーメン屋さんの中華そばと奥様が生まれ育った宮城県三陸の海鮮を用意しました。

いつも通っていたラーメン屋さんの中華そばだと気付いたご家族の顔には、驚きと喜びの表情が広がりました。

実はラーメン屋さんは本当は持ち帰りができないそうです。担当の石川さんが実際にお店に足を運び、奥様がこのラーメン屋さんの中華そばが大好きだったこと、元気になってご夫婦でこのお店に食べに行きたかったという願いをなんとか叶えたいと店員の方にお願いしたそうです。

ラーメン屋さんはいつも来ていたお二人の事を覚えていました。「あの席でよく二人で召し上がっていましたよ。」とお二人のお話を聞かせてくれました。奥様が亡くなられたことに驚き、悲しまれたそうです。石川さんのご夫婦への思いに共感したお店の方は中華そばを式に用意することに協力してくれることになりました。

具材はサランラップに巻いて、スープは別に用意をしました。製麺工場で頼んだ麺を譲っていただき、当日に葬儀社のスタッフが麺を茹でました。器もお店の方のご厚意で貸していただくことができました。いつも食べていた大好きだった中華そばを一番美味しい状態で渡せるように、一杯の中華そばにたくさんの想いと細やかな心配りが詰まっています。

娘さんは泣きながら奥様に大好きだった中華そばが届いたことを伝えました。中華そばの美味しそうな匂いに奥様もきっと喜んでくださったでしょうか。奥様の大切なご家族と大好きなものに囲まれたお別れになりました。

心残りをあたたかい思い出に変える

お葬式が終わってからしばらくして、ご家族でラーメン屋さんへ食事に行かれたそうです。ご家族はお葬式の感謝をお店の方に伝えました。

家族の死はとても悲しいものです。「元気になったらまたあのお店に一緒に行こうと話していた。」というご家族の言葉の奥にある思い出を石川さんは大切にされていました。その思い出が悲しいものだけにならないように、思い出の中華そばで愛する人を送り出すことで最後にあたたかい思い出に変えることができたのではないでしょうか。

【担当者の一言/石川さん】家族や知人が亡くなってしまうことは、非常に悲しく残念な出来事です。私たちの使命は、悲しみの中で故人をどのように送ることができるかが、重要だと感じます。そして、私たちの一番のお客様はご葬儀を行う『亡くなった故人様です』故人様・ご家族様から『ありがとう』と言って頂けるように、常に私たちからも何かできないか?をテーマに考え、感謝の心を持ってお手伝いをしております。

取材協力

株式会社しんこう(セレモしんこう)

〒306-0411茨城県猿島郡境町下砂井761-5

TEL:0280-87-8940

【取材後記】昔からの形式や儀式も大切にしながら、故人の為に何ができるかを大切にしてご葬儀をしていることが伝わりました。ご家族は悲しみの中にいるため、故人の為に何かしてあげたいという想いがあっても何ができるかわからない方も多くいらっしゃると思います。ご家族の想いをくみ取り、想いを形にした心に残るご葬儀でした。

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