海を愛し、波に愛され、サーフィンと共に過ごした日々。
仲間達によって海へ旅立ち、海と一つになりました。
波に魅せられた生涯
2021年、レジェンドサーファーだった伊東富士夫氏は73歳の生涯に幕を閉じました。くげぬまEASYというサーフチームを立ち上げ、約45年もの間、湘南の海を愛し、多くのサーファー達にローカリズムを広めてきました。彼は生涯をサーフィンに捧げ、その素晴らしさ、海を守ることの大切さを伝えてきました。
友人が創りあげるセレモニー
葬儀は親しい友人が中心となり執り行われました。コロナ禍でも大勢の仲間が彼の旅立ちを見送れるように5時間をかけて行われ、サーフィン仲間ら600名を超える参列者が集まりました。
ボブ・マーリーの音楽が流れる会場。天井まで届く大きな波のパネルの前には彼が愛した思い出の数々が飾られ、笑顔と涙で彼を偲ぶことができました。
祭壇は彼の名前にちなんだ「富士山」と彼が愛した雄大な海の「波」をイメージして、愛用品のサーフボードやウェットスーツも飾られました。青い空に包まれた祭壇は鵠沼の海そのものでした。
パドルアウトセレモニー
彼への感謝と敬意をこめて、彼が生前愛した鵠沼の海で散骨が行われることになりました。散骨の際には多くの仲間が集まり、彼を見送りました。
サーファーだけでなく、彼を慕った多くの人々が陸からも彼の死を追悼しました。サーフ仲間たちがボードで沖にでると、海上で手をつなぎ、大きな大きな一つの輪となりました。そして信頼する友人の手によって海に散骨され、彼は海に還っていきました。
大切な友人を自分達で見送るという経験は、きっと永遠に心の中に残り、彼の魂は受け継がれていくことでしょう。
【担当者からの一言/森井さん】友人が主導で三密を避けながら華やかなお葬式でした。友人の皆様から故人へたくさんの感謝の気持ちがこもったスライドショーと思い出コーナーは、人柄やこれまでの生き様が分かる内容でした。ご家族も「故人の知らなかった一面を知ることができて本当にうれしい」と感謝の言葉を述べていました。“コロナ過だから葬儀は家族だけ”ではなく、“コロナ過でもどうしたら人が集まれる葬儀”をできるかを考えていかなければと実感いたしました。
【取材後記】故人が自らの「死」を持って、残された方々に生きていく上で一番大切な事を教えてくださると担当の森井さんから伺いました。たくさんの仲間やご家族と多くの思い出を共有する時間が最期につくれたことで、故人の想いを引き継ぎ、生きることの大切さを実感できるお式になったと思いました。