ネット銀行が広がる現代の終活事情
終活の一環として財産の整理を始める際、見逃せないのが“ネット銀行”の存在です。
紙の通帳がないネット銀行は、便利な反面、遺族がその存在に気づけず、相続がスムーズに進まないリスクが潜んでいます。
スマホ一つで口座開設や管理ができる時代。特に若年層だけでなくシニア世代にもネット銀行は広がっており、今後は終活の現場でも「ネット銀行の情報整理」が重要な課題となります。
紙の通帳がないリスク
ネット銀行の最大の特徴は「通帳が存在しないこと」。
郵便物も届かないため、家族がその存在を知らずに見落とすケースが少なくありません。従来の銀行であれば、通帳やキャッシュカードが遺品として残ることで相続人が気づくことができますが、ネット銀行にはそれがないため注意が必要です。
また、本人しかログインできない仕組みであるため、IDやパスワードを誰にも伝えていないと、ログイン自体が不可能になります。結果、預金の存在が闇に埋もれてしまうこともあるのです。
ネット銀行の情報をどう残すか
ネット銀行の情報は、紙で残すのが基本です。以下の項目は最低限、手書きや印刷して保管しておきましょう。
・ネット銀行の名称と口座名義
・ログインIDとパスワード（または保管場所）
・登録してあるメールアドレスや電話番号
・入金や引き落としの内容（給与、年金、光熱費など）
これらの情報は、紙ベースでエンディングノートに記入するか、パスワード付きのデジタルデータとして保存し、その保管方法を信頼できる家族に伝えておきましょう。
まとめ：ネット銀行の情報は「見えない財産」
ID・パスワードの取り扱いは慎重に行いましょう。
セキュリティの観点からすべてを開示するのは不安という方も、最低限、パスワードの保管方法やヒントだけでも伝えておくことが重要です。
金庫や貸金庫に保管しておく 、USBメモリにまとめ、封筒で保管する 、信頼できる一人にだけ情報を預けておくなど、家庭に合った管理方法を選びましょう。
ネット銀行の預金は、紙の証拠が残らない「見えない財産」とも言えます。そのまま放置してしまうと、大切な資産が相続人の手に渡らず、失われる可能性もあります。
終活の際は、通帳がない口座こそ、丁寧に情報を残しておくことが重要です。便利さの裏にあるリスクを理解し、家族の未来を守る準備を始めましょう。
