約束の桜に見守られたお別れ【家族葬のそうえん】

ご両親、そしてご主人、、、
三度の旅立ちに寄り添った奥さまの想い。

一度のご縁が、三度の信頼へ

「またお願いしてもいいですか?」

そんな一言から始まった三度目のご依頼。それは、私たちにとって特別な出来事でした。一度でもご縁をいただくことはありがたいことですが、同じ喪主さまから三度目のご依頼をいただくことは、葬儀社としてそう多くあることではありません。

私たちのご縁は、今から数年前。最初のお見送りは、喪主さまのお父さま。ご家族だけで静かに送りたいというご希望に寄り添い、あたたかな時間を大切にしたお式でした。その半年後にはお母さまが旅立たれ、再びご連絡をいただきました。そして三度目は最愛のご主人のお見送りでした。

ご主人への想いと、満開の桜に込めた祈り

桜の花がとてもお好きだったご主人。
「また桜を見れたらいいな」生前、そんな言葉を何度も口にされていたそうです。「見られるといいわね」とご家族で願い合っていた中、春を迎える前に旅立たれました。「最後にお花見をさせてあげたかったわ」奥さまのその言葉が、とても印象に残っています。

そこで、会場に桜を飾ることをご提案しました。季節はまだ春の入り口。生花チームは早咲きの桜を探しました。届いた枝は、つぼみのままのものが多く、開花には工夫が必要でした。作業場の暖かい部屋に桜の枝を並べ、一本一本に声をかけるように丁寧に温度を調整しながら、花が咲くその瞬間を待ちました。

家族の愛が満ちる時間

そして迎えたお式の日。
式場いっぱいに咲いた淡い桜色が、まるでご主人の願いに応えるかのように、やさしく咲き誇り、会場をやわらかく包んでくれました。奥さまが「まるでお花見をしているよう」と微笑まれたその表情が、何よりの答えでした。

その桜に包まれたお式には、ご主人とご縁のあった方々が足を運んでくださいました。ご主人はお仕事柄、今も現役で活躍されている方とのつながりも多く、奥さまは感謝の気持ちを込めて、ひとりひとりにお声がけをされたそうです。その想いに応えるように集まった方々に見守られながら、あたたかい時間が流れました。

ご主人の病気がわかった当初は、まだ体調も落ち着いていたそうですが、次第に外出が難しくなり、直接ご挨拶できなかった方も少なくなかったといいます。だからこそ今回のお式には、「主人の代わりに感謝を伝えたい」という奥さまの想いが込められていました。

想い出と桜に包まれた、最後の贈りもの

会食のお部屋ではお孫さんが心を込めて作った手作りのDVDが流れていました。思い出を振り返る、愛情たっぷりの映像には、ご主人が好きだった「サライ」の曲が静かに流れ、ご家族やご参列の方々が、優しい気持ちで映像を見守っていました。

ご主人は、ものづくりが大好きな方だったそうです。手作りの品々が式場の2階に丁寧に飾られ、「○○さんらしいね」と懐かしそうに微笑む声が聞こえてきました。

桜が咲くその場所で、ご主人は多くの方に見守られながら、静かに旅立たれました。
その姿は、ご家族が紡いできたあたたかさの証でもありました。


【担当者の一言/佐藤さん】一つの家族から、一度ではなく三回も「今回もあなたにお願いしたい」とお声をかけていただけると大変光栄な想いでいっぱいになります。ご家族皆様が親しみをもってどんなお花を飾るか、なんでも相談出来る関係性が築けて感謝しています。お世話になれて良かったとお話しくださる喪主様の笑顔が忘れられません。

取材協力

株式会社 葬援(家族葬のそうえん)
〒191-0052

東京都日野市東豊田4−17−3
TEL:042−506−2300

【取材後記】三度にわたるご依頼には、ご家族と葬儀社の深い信頼関係が感じられました。ご主人の「桜が見たい」という願いを叶えるために、春を待たず咲かせた桜。その場に込められた想いのあたたかさに、私たちも心動かされました。お見送りのかたちは、ご家族の気持ちとともにあるのだと、改めて感じた取材でした。

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