ひまわりに託した想い【MIHANA -心花-】

人生を大きく変えることとなった
6歳の息子の交通事故

悲しみを超えて お父さんが息子のためにできること

交通事故で失った日常

昨年の夏、花屋として独立して少したった頃のことでした。
人生を大きく変える出来事が起こりました。

太陽のように明るく、誰にでも優しく、正義感の強い六歳の息子。
小学校一年生になり、迎えた初めての夏休みでした。
元気いっぱいに楽しく過ごしていた日々はあまりにも突然に途切れてしまいました。
息子は交通事故に遭い、突然帰らぬ人となってしまいました。

父親としての姿を

胸が張り裂けるような思いの中、取引のある葬儀社に依頼し、人生で初めて喪主を務めることになりました。
葬儀社の担当者の方から「祭壇を作るかっこいいお父さんの姿を最後にお子さんに見せてあげて」と言われました。その言葉に背中を押されるように、悲しみの中、自ら息子のための祭壇を作ることを決めました。

祭壇は息子のイメージにぴったりのひまわりをたくさん飾りました。
花を手に取りながら、涙が止まりませんでした。
目の前の写真の中にいる息子はニコニコと笑っています。

今にも起きてきそうな息子が眠る部屋で、悲しさに押しつぶされそうになりながら生花祭壇を作りました。

ランドセルや思い出の写真、頑張って作ったけれど提出できなかった夏休みの工作、そして大切にしていたおもちゃを祭壇に添えました。六年間という短い時間でしたが、会場は息子の思い出が溢れていました。

たくさんの人に見守られて

家族葬として静かに執り行う予定でしたが、「息子も最後に大好きな友達に会いたいだろう」と思い、まわりの方達に声をかけることにしました。
すると、想像以上に多くの方々が通夜に駆けつけてくれました。

息子の棺を前に涙を流す大人たち。
まだ死というものを理解しきれない幼い友達は、「なんでこの箱の中で寝ているの?」と、無邪気な声で問いかけながら、息子のために大切な宝物や手紙を棺に入れてくれました。

式場は、大人たちの涙と、子どもたちの無邪気な声で包まれました。

翌日の葬儀にも、たくさんの人が訪れました。
「息子はこんなにもたくさんの方々に見守られ愛されていたのだ」と、改めて感謝の気持ちが溢れました。

お別れの時、息子がおばあちゃんと一緒に育てた大きな大きなひまわりを、小さな頃から使っていたハンカチでそっと包み、最後に棺へ手向けました。多くの方に優しく見守られながら、息子は旅立っていきました。

【担当者の一言/野村さん】
最愛の方との別れ、それは悔やんでも悔み切れないほど、辛く悲しいものです。そして悲しい事に別れは突然起きます。当時は現実逃避したくなるほど辛い思いでした。6年という短い時間でしたが、私はかけがえのない幸せな時間を息子にもらいました。別れとは、とても辛い事ですがしっかりと向き合い追悼の意を込め最後に『ありがとう』と伝える事が最も大切なのではないかと思います。

取材協力

MIHANA -心花-

〒504-0008
岐阜県各務原市那加桐野町1-44
TEL:(058)338-1055 FAX: (058)338-0596

【取材後記】
大切な人を失う悲しみや辛さは計り知れません。野村さんはその辛さを乗り越える中で、「誰かの悲しみに寄り添い、少しでも心を和らげるお手伝いをしたい」という想いを抱かれました。その優しさと決意が、遺された人々の悲しみに寄り添い、心に届く花束や祭壇を作り出しているのだと思いました。

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