幼い声に込められた感謝と
家族の愛情が形になったお見送り
家族の願い
33歳という若さで病気のために亡くなられた女性。病気の進行は早く、ご家族はある程度の覚悟をされていたとはいえ、その日が訪れたときの悲しみはとても深いものでした。
ご両親、ご主人、そしてまだ5歳の息子さん、そして3人のお姉様。愛情あふれるご家族に囲まれて育った彼女は、まわりの人にとっても太陽のような存在でした。
お父様が会社を経営されていたこともあり、職場の方々や取引先の方々、ご友人やご近所の方まで、たくさんの人が彼女を偲びに訪れました。二日間でおよそ800名。ご家族の一番の願いは「本人らしく、寂しい感じではなく明るく送ってあげたい」。その想いに応える形で、お別れの式は大規模でありながらも温かさに包まれたものになりました。
ひまわりと金木犀に込めた想い
夏生まれで、ひまわりが大好きだった彼女。白木祭壇が一般的な地域ですが、今回はご家族のご希望でひまわりを中心にデザインした生花祭壇にしました。黄色い花々が会場を明るく彩り、彼女の笑顔を思い出させるようでした。

さらに「金木犀の香りが好きだったから、香りで包んであげたい」というご姉妹からの想いを受け、式場や控室には金木犀のお線香が焚かれました。やわらかく懐かしい香りが漂い、彼女が好きだった香りとともに最期の時間を過ごすことができました。
よみがえる笑顔
お写真をお預かりし、AIの技術で少し動きをつけて映像に仕立てました。幼い頃や学生時代の写真がスクリーンの中で息を吹き返したかのように映し出されました。会場にいた方々からは驚きと感動の声があがりました。
映像に合わせて流れたのは、彼女が好きだったEXILEやテレサ・テンの音楽。懐かしい曲が流れるたび、笑顔の思い出がよみがえり、涙とともに会場にあたたかな空気が広がりました。
残された家族の言葉
ご主人が皆さまの前で最後のお言葉を伝えられた場面はとても印象的でした。妻との思い出や感謝の気持ちを静かに語られる姿に、会場全体が深い感動に包まれました。そしてまだ幼い息子さんは、状況をすべて理解できているわけではないようですが、その口から出た言葉は――
「僕を産んでくれてありがとう」
その一言は、会場にいたすべての人の心に深く響き、静かな涙が広がりました。小さな命から紡がれた感謝の言葉は、これまでの愛情に対する何よりの応えとなったのではないでしょうか。
「明るく送ってあげたい」という願いの中でも、やはり棺のふたを閉める瞬間には、ご家族もご友人も涙が止まりませんでした。それでも、出棺のときには、笑顔と涙が混ざり合い「本人らしく送ることができた」と皆様が心から感じられたお別れになりました。

【担当者の一言/吉岡さん】葬儀の担当をしていますと、故人様が若い時もあります。故人様が若い時は、特に「傾聴と提案」を大事にしています。ご遺族様の気持ち、お話を伺い、何がしてあげられるか、何が故人様、ご遺族様の為になるかを考えて提案します。それが祭壇だったり、音楽・映像だったり挨拶状だったりします。ご遺族様の気持ちに寄り添って、本人様らしい葬送の儀が執り行えるように担当者として向き合っています。
株式会社メモリードグループ
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【取材後記】若くして旅立たれた大切な方を「本人らしく、明るく送りたい」というご家族の願い。その想いが、ひまわりの祭壇や金木犀の香り、映像や音楽のひとつひとつに込められていました。ご主人の言葉、そして幼い息子さんの「僕を産んでくれてありがとう」という一言は、会場に深い感動を呼び、ご家族の絆をあらためて感じさせるものでした。お葬式は悲しみだけではなく、「ありがとう」と「愛」を確かめ合う大切な時間であることを強く感じました。
