
ユー花園が紡ぐ、想いを映す花々
1962年、東京都下北沢の商店街に五坪ほどの小さな花屋としてユー花園は誕生しました。
創業当初は、リヤカー1台に花を積み、街を回って販売するところからのスタートでした。
花屋として営業を続けるなかで、少しずつ冠婚葬祭の装飾にも力を入れ始めました。
創業者が和歌山出身であったことから、地元から人を呼び寄せより多くの雇用や発展の機会を生み出すためにも会社の規模拡大と多角的な事業展開を目指して事業の幅を広げていきました。
現在では葬祭装飾だけでなく、ウェディング、イベント、フラワーショップの展開などを通じて花に関するサービスをトータルに提供する花の総合サービス企業として広く信頼を集める存在となっています。
花の可能性を広げるために——理念とビジョン
ユー花園が掲げる企業理念は、お客様に最高のご満足をお届けするために、常に新たな挑戦の機会を求め、行動し続けること。そして、その理念と深く結びつくビジョンが「花のもたらす喜びを世界中に伝えられる集団になろう」という想いです。
「花はただ美しいだけでなく、人に感動を与える力を持っています。
見る者の心を揺さぶり、慰め、時には背中を押してくれる力が花にはあると私たちは信じています。」
花の可能性を最大限に引き出し、誰かの人生の節目に心からの満足を届けるために。ユー花園では日々、技術とデザインの研鑽を積み重ね、スタッフ一人ひとりが誇りと使命感を持って花に向き合っています。花の力を信じ、その力を社会に広げていく。その志を共有する仲間として集い続けています。



社内で大切にしている3つのこと
ユー花園が葬祭業において特に重視しているのは「安心・安全」「デザイン力と提案力」「対応力と機動力」の3つの柱です。
まず第一に安心・安全。
葬儀は一度きりのかけがえのない時間であり、決して失敗が許されない場です。
花の装飾が通夜や告別式に間に合わなければ、すべてが台無しになってしまう可能性もあります。だからこそユー花園では厳密な時間管理と確実な搬入体制を徹底し、葬儀という場にふさわしい信頼性を築いています。
第二にデザイン力と提案力。
ユー花園では故人らしさを映し出す祭壇づくりを大切にしており「この祭壇でよかった」と心から思ってもらえるような空間づくりを目指しています。葬儀業界の枠を超え、ホテルウェディングで培った最新の装飾技術やデザインセンスを取り入れながら、幅広いニーズに応えています。
お別れの会や社葬などの大規模案件に対しては、CGパースを使った完成予想図の提案も行い、式場との相性やご遺影との調和まで可視化して納得のいく提案を実現しています。
第三が対応力と機動力。
ユー花園では、首都圏を中心に東京・神奈川・埼玉に支店を展開しています。
2025年7月には神奈川県内に新たな拠点を増設し、現在では本店1、支社1、支店4の体制を築いています。100名を超えるフラワーディレクターと200台以上の車両を保有し、各地域の主要式場や火葬場への迅速な対応を可能にしています。さらに、仲卸の関連会社も備えているため、特別な花材の調達にも柔軟に対応でき、細かなこだわりを形にする力があります。
高め続けるスタッフの技術力と品質管理
社内スタッフの技術力向上にも力を入れており、AFFA (一般社団法人 フューネラル・フラワー技能検定協会)の検定試験を活用し、ユー花園では、資格制度を取り入れ、生花祭壇の基礎から応用技術までを段階的に学ぶことが可能です。
また、施工品質の基準を明確にした独自のCPS(施工プロフェッショナル制度)も導入し、花の配置だけでなく、布のかけ方や全体のバランスに至るまで丁寧で整った仕上がりを実現するための取り組みが徹底されています。


正確さにこだわる仕事の流儀
30年にわたりユー花園で葬儀装飾に携わってきた中台さん。
大学卒業後に新聞社を経て、身体を動かしながら花に関われる仕事を求めてたどり着いたのがユー花園でした。最初の10年は現場の職人として花を活け、式場に納品する日々を過ごし、現在は営業として既存顧客との関係構築や新規開拓に尽力しています。
「お客様からの『イメージ通り』『わぁ、綺麗』という声がなによりの喜びです」と語るその表情からは、仕事への誇りと情熱がにじみ出ていました。
営業という立場になった今も、中台さんが大切にしているのは正確性。
特に葬儀の装飾は、電話やFAX、メールなど限られた情報からの依頼が多く、色味や雰囲気など抽象的な表現をいかに正確に読み取れるかが問われます。
花の表現には幅があり、たとえば「白に紫を入れて」「ピンク多めで明るく」といったご要望には、人それぞれで受け取り方が異なります。お店で花を買うときのように目で見て確認できない葬儀の場面では、わずかな言葉の違いが仕上がりに大きく影響します。
ユー花園では、限られた文字情報からお客様の意図を正しく汲み取るために、徹底して確認と対話を重ねる体制を取っています。曖昧な指示も、その背景にあるご葬家の想いを汲み取りながら、経験に裏打ちされた判断で最善の提案につなげていきます。気になることがあれば必ず確認し、時には何度も連絡を重ねることもあります。それは、一度きりの大切な時間を任された責任を果たすための大切な姿勢の一つです。


花の力をこれからも
生花祭壇は、故人の人生を語る舞台のようなものです。
単に華やかに飾るのではなく、ご遺影との一体感を大切にし、その人らしさを丁寧に表現することで式そのものの意味を深めていきます。
たとえば、海を愛した方には波の曲線を描くようなデザインを施し、穏やかなブルーのグラデーションを使って海を感じさせる空間を作る。そこに「その人らしさ」が宿ることで、ご遺族や参列者にとっても心から納得できる見送りとなるのです。
写真やパネルでは表現しきれない雰囲気や想いを、色やかたち、質感、香りといった花の要素で紡ぎ出せること。それこそが、生花祭壇の持つ大きな可能性です。
花を用いた柔らかな造形は、優しさ、厳かさ、豪華さなど、多様な感情を内包しながら空間を彩る力を持っています。
祭壇を丁寧に整えることで、式全体も引き締まり、意義ある時間が生まれる。その考えのもと、ユー花園は一つひとつの祭壇に心を込めて取り組んでいます。
株式会社ユー花園
〒154-0015 東京都世田谷区桜新町2-12-22
TEL:03-5477-1187
【取材後記】取材を通じて印象的だったのは、花の表現力を活かす技術や感性だけでなく、それを支える組織体制の確かさ。ユー花園さんは、葬儀というかけがえのない場面で花の力を最大限に届けるために、人材・物流・提案体制を整え、確かな価値と信頼を築き上げているのだと感じました。
