教授が愛した世界で送る
形式にとらわれないあたたかなお別れ
空間づくり
68歳で旅立たれたご主人は、教授として多くの教え子に慕われ、博識で雑学にも精通し、生涯にわたり読書を愛された方でした。
喪主をつとめられた奥様はカトリックの信者さんで、私たちとも教会を通じて日頃から親しくお付き合いさせていただいており、今回のご葬儀にあたっては、「主人の想いをできるだけかたちにしてあげたい」とお話くださり、「内田さんにお任せします」とすべてを託してくださったのです。
ご主人が生前からご家族に伝えていたご希望は明確でした。
「葬儀は嫌い。自宅で本に囲まれて花に囲まれて送って欲しい」
ただ、ご自宅ではスペースが足りない。そこで、式場を使いながらも自宅のように落ち着ける空間づくりを目指しました。
「たくさんお花を飾ってあげたい」というお気持ちもあったものの、ご予算との兼ね合いもありました。そこで私たちは、華やかさを保ちながらも無理のない範囲で演出できるよう、空間づくりに工夫を凝らしました。
受付のクロークを本棚に見立てて飾り付けをし、ご主人の愛読書を美しく並べることで、会場全体にあたたかさとご本人らしさを添えました。

ただの装飾ではなく、まるでご主人の気配がそこにあるような、そんな空気感を大切にしました。
愛したものに囲まれ
当日、式場には、ご本人が生前に読み込んだ本がずらりと並びました。「この本、ご本人が愛したものです。気になる本があれば、ぜひお持ち帰りください」とお伝えすると、それぞれの思い出を胸に一冊ずつ手に取っていました。

ご友人が奏でるフラメンコギターのやさしい音色に包まれながら、プロのダンサーが心を込めて踊ってくださいました。まるで自宅で過ごすように、ワインを片手に、懐かしい思い出を語り合うご参列の皆さまの姿からは、ご主人がどれほど多くの人に愛されていたかが伝わりました。


ご友人や教え子など、親しい方々を中心に60名ほどが集まり、それぞれが故人様との思い出を胸にお別れの時間を過ごされました。
故人様と顔を合わせながら見送ることができたことで、ただの「お別れ会」ではなく、想いがしっかりと伝わる“その人らしい葬儀”として、多くの方の心に深く残るひとときになったのではないかと思います。

【担当者の一言/内田さん】「葬儀について、わからない事がわからない…」限られた時間の中でお別れの準備をしなければならない。とても大変な事です。私はそんな方たちのサポートを少しでもできればと思っております。私自身はヒアリングをとても重視しております。「沢山のお話をいただいて、色んな選択肢の中からご納得いただけるモノを提供したい。」その想いを念頭に誠心誠意サポートいたします。
株式会社日典
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【取材後記】葬儀は、必ずしも宗教や形式に沿わなければならないものではありません。その方が生きてきた日々、その方らしさ、ご家族の想い、集まった人の気持ち。それらを丁寧に結び合わせたとき、本当にあたたかなお見送りが生まれるのだと、改めて感じさせていただきました。
