
「とりあえず共有名義」は危険な選択
ご両親が亡くなり、相続財産として実家が残されたとき。
「兄弟で仲良く分けたいから」と、共有名義にするケースは少なくありません。
しかしこの判断、実は後々トラブルの元になることが多いのです。
不動産は共有名義になると、「売る」「貸す」「建て替える」などの意思決定が1人ではできなくなるためです。
さらに、名義人が亡くなるとその持ち分はさらに子どもに相続され、権利関係がどんどん複雑になっていきます。
実家の保有を先延ばしにすると損することも
「思い出があるから売りたくない」「すぐ決めるのは忍びない」
そう思って保有を続けると、空き家としての管理コストが増え続けるだけでなく、
売却時の税制優遇(相続空き家の3,000万円控除など)が使えなくなることもあります。
また、「相続税の申告前に売ってしまった」ことで、小規模宅地の特例(評価額80%減)を受けられないというケースもあります。
対策は「元気なうち」にこそ意味がある
相続トラブルの多くは、親が亡くなった後、
「実家をどうするか」という意見の違いから起きます。
これを防ぐには、親が元気なうちに「実家をどうしたいか」意思を確認しておくことが最善です。
可能であれば、遺言書を残しておくのも非常に効果的です。
相続対策というと難しく聞こえるかもしれませんが、「自分の気持ちを家族に伝える」ことから始まります。
実家はただの不動産ではありません。家族の記憶とつながる場所だからこそ、
その“終い方”も大切にしていきたいものです。