
葬儀やお墓の準備、生前整理といった「死の後」に備える活動が広がる中、「死の前」、つまり終末期の過ごし方を考えることも、重要な終活の一環となってきました。
本コラムでは、人生の最終章を穏やかに過ごすために知っておきたい「終末期医療」の基本についてご紹介します。
終末期医療とは
病気や老衰などにより、治療による回復が見込めず、余命が数ヶ月以内と見込まれる時期に提供される医療です。延命治療よりも、痛みの緩和や精神的な安らぎを重視したケアが中心となります。
【終末期医療の3つのケア】
●身体的ケア
痛みや呼吸困難などの身体的苦痛を和らげるための投薬や栄養管理が行われます。
●精神的ケア
不安や孤独感に寄り添い、音楽や思い出の品などを通して穏やかな時間を過ごせるよう支援します。
●社会的ケア
医療費や介護にかかる費用面の不安を解消するための支援や、相続・遺品整理の相談なども含まれます。
終末期医療を受けられる場所
●緩和ケア病棟やホスピス
●高齢者施設や障害者施設
●自宅(訪問医療・訪問看護)
患者本人の希望を尊重することが前提です。
終末期医療にかかる費用は高額療養費制度などにより、医療費負担の上限が設定されているため、経済的な心配を軽減することが可能です。
終末期医療の希望をエンディングノートに
自分の意思を書き残すことは、家族への安心にもつながります。延命治療を希望するかどうか、自宅での看取りを望むかどうかなど、考えを整理し、文字にしておきましょう。
「自分がどう最期を迎えたいか」を考えることは、残される家族にとっても大きな助けになります。
元気な今こそ、自分らしい最期について考え、準備することが“思いやりの終活”とも言えるでしょう。