
こころねが紡ぐ最後の時間
今回インタビューをしたのは、大阪や和歌山を中心に活動する納棺師「こころね」代表の「山田佳江さん」です。
創業は平成31年1月。湯灌業者から独立する形で立ち上げました。
大阪や和歌山を中心に活動する納棺師「こころね」。その名の通り、故人の「心の音」に耳を傾け、最後のお化粧を施すことを大切にしています。
納棺師とは、故人を清め、衣装を整え、化粧を施し、最期のお別れの準備をする専門職です。
遺族とともに故人を見送り、心を込めた納棺を行うことで、遺族が故人との別れに向き合えるようにサポートします。ただ単に身支度を整えるだけでなく、故人や遺族の想いに寄り添いながら、尊厳を持って旅立ちを支える重要な役割を担っています。
納棺師としての歩み
以前働いていた時は、一人の故人に対して15分から20分程度しか時間をかけられませんでした。しかし、もっと丁寧に、特化した形でお手伝いをしたいと思い、独立を決意しました。
一人で納棺に向かうことで、家族も自然と手を差し伸べやすくなります。遺族にとって「できるだけ家族との時間にしたい」という想いを尊重し、サポートすることがこころねの役割です。
もちろん無理強いはしません。でも、遺族の方から『少しでも故人と関われてよかった』『こんなことまでできるとは思わなかった』という言葉をいただくと、遺族が故人と向き合う時間を作れたことにやりがいを感じます。

会社名「こころね」に込めた想い
その名の通り、故人の「心の音」に耳を傾け、最後のお化粧を施すことを大切にしています。
亡き人の心の音に耳を傾け、どんなことをしてほしいかを感じ取りながら、お化粧をしたいと思っています。
故人が喜ぶことは、遺族にとっても喜びにつながると考えています。
もともと葬儀社に勤めていましたが、故人と関わる機会はほとんどありませんでした。その後、お寺で働く機会を得て、法要や納骨を通じて遺族の心の回復を目の当たりにしました。そこで、「亡くなってすぐのご遺族に寄り添う仕事をしたい」と思い、納棺師の道を選びました。


お客様と向き合う姿勢
黒子に徹し、前に出すぎないことを大切にしています。
遺族が何を話したいのか、何を気にしているのかを感じ取りながら仕事をするよう心がけています。
過度に話しすぎないよう注意しています。
スタッフも一人で施術を担当しますが、働く環境にも配慮しています。
「自分の人生を大切にしないと、仕事も大切にできない」と考え、時間や体制に柔軟性を持たせています。
納棺師は頑張り屋さんが多いので、体を壊さないように気をつけてほしいです。長く働いてもらうためにも、仕事と人生のバランスを取ることが大切です。


こころねの強み
お顔のお化粧に特化し、30分から1時間をかけることができます。
『お化粧はこころねさんなら間違いないね』と言われるようになりました。
また、お化粧だけでなく、シリコンや復元の技術、傷の縫合や修復の技術もスタッフと共有し、納棺の技術を高めています。
仕事のやりがい
『こんなに最後に参加できるとは思わなかった』と言われたときが、一番やりがいを感じます。
最初は近づけなかった遺族が、納棺を終えた後に故人の顔に触れられるようになった瞬間に、良かったなと思います。
最後に故人の顔を見て、安心して送り出せること。
それが、遺族にとっての大切な時間になるのだと感じます。
会社の目標と未来
現在、スタッフには21歳と23歳の若い納棺師がいます。彼女らをプロフェッショナルに育て、実直で素直な納棺師に成長してもらいたいです。
故人との最期の時間を、遺族にとって心に残るものにするために。「こころね」はこれからも、心を込めた納棺を続けていきます。
〒596-0824
大阪府岸和田市葛城町1250-3
TEL:090-9871-9967 FAX::06-6485-4841
【取材後記】
今回の取材を通じて、「こころね」さんの納棺に対する深い想いを感じることができました。
また、納棺師という仕事が遺族にとってどれほど大きな意味を持つのかも改めて実感しました。家族が故人と向き合う時間を支える「こころね」さんの仕事は、まさに「心の音」を感じ取る大切な役割を担っているのだと思います。
