小さな男の子の旅立ち【おくり化粧こころね】

事故で亡くなった6歳の男の子
大好きだった青色に包まれた最期のエピソード。
納棺師の丁寧な所作や提案が、家族との最後の時間を温かく彩りました。

突然の交通事故

6歳の男の子が事故に遭い、1ヶ月間、病院で懸命に治療を受けました。
家族や医師、看護師たちの支えの中、たくさんの願いが込められた千羽鶴が彼の病室を彩り、お母さんが手作りした帽子が男の子の頭を優しく包んでいました。
しかし、その小さな命は、静かに最後の時間を迎えました。

青い棺の中に眠る男の子

男の子の名前には「あお」という字が含まれていました。そして青が大好きだった彼のために、星が散りばめられた宇宙のような青い棺が選ばれました。
男の子は、仏衣ではなく大好きだったトレーナーとズボンを身にまとい、家族に囲まれて最後に穏やかな時間を過ごしました。
目が少し開いている状態でしたが、ご家族の方に確認して納棺師の方が優しく話しかけながら、そっとその目を閉じました。

最後の爪切り

納棺師の山田さんが、最後に爪や髪の毛を少し切ることを提案しました。
「大切な思い出として持っておけますよ。」という言葉にお母さんは「お願いします」と頷き、男の子の爪と髪の毛を少しだけ切り、大切に保管することにしました。
生まれてから何回、何百回と爪を切ってあげたけれど、これが男の子にしてあげられる最後の爪切りです。これからも息子と繋がっている証を形に残したいというお母さんの深い愛情に寄り添った山田さんの温かい配慮でした

家族写真

場を和ませようとしたご親族の方から最後に家族写真を撮ることが提案されましたが、お母さんは悲しみのあまりカメラの前に立つことができませんでした。「いつか絶対に写真を撮っておいて良かった日がくるから」とおばあちゃんがお母さんを優しく諭しました。
その言葉を聞いてお母さんは涙を流しながらもカメラの前に立ち、男の子との最後の家族写真を撮ることができました。

【担当者の一言/山田さん】
どんな命も同じく等しいとはいえやはり小さな命とのお別れは胸が張り裂ける思いです。このようなご納棺時には、特にこころ冷静に進めるように心がけています。悔いを残さないというのは難しいかもしれませんが、何か「忘れもの」がないか?私たちの立場で見回して拾ってあげたいものです。

取材協力

おくり化粧 こころね 

〒596-0824
大阪府岸和田市葛城町1250-3
TEL:090-9871-9967 FAX::06-6485-4841

【取材後記】
納棺師の山田さんの優しい声掛けや所作が、最後の時間を大切に紡いだ姿が印象的でした。最後の爪切りの提案は、家族の心に永遠に残る思い出を刻む助けとなりました。その温かな仕事ぶりが、ご家族の心に寄り添い、深い悲しみを和らげてくれたように感じます。

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