お父さん、良かったね。元気な時のお父さんだ。
喜びが連鎖し、笑顔でお見送りが出来ました。
美しくあの世に還るお手伝い
美還師を目指したきっかけであるお父様の葬儀のエピソードになります。美還師とは美容師の「資格」「技術」によって、亡くなった方のヘアカットをし綺麗に整え、生前に近いお姿でお見送りをし、残された方々の悲しみを少しでも和らげるお手伝いをします。
いつもの父の姿
自宅と病院での約4ヶ月間の闘病期間の末、病院で息を引き取りました。普段すっきりとしていた髪型のお父様。闘病生活の中、「しんどくて散髪屋さんにも行きたくない」と、、、首辺りまで髪の毛が伸びていたそうです。亡くなってから、自宅に戻ってきました。葬儀社との打合せの際に、福島さんは、どうしても髪の毛が気になり、髪の毛も整えていただけませんかとお願いをしました。ですが、長さを「切る」という事しかできないと。美容師をしていると話をしていたので、「もし良かったら娘さんがされたらどうですか」と提案がありました。
皆悲しみに暮れている中、お父様の髪の毛を福島さんが綺麗に整えた時、周りが「お父さん、元気な時の顔みたいだね。」「お父さん、良かったね」と一瞬で笑顔になり明るい話題に変わったそうです。その時、これってすごい喜ばれる事だなと身をもって感じたそうです。
美還師への道のり
その後、修行の為、湯灌師として働き始めました。「美還師」としてのお仕事を確立させるために、どういった流れならできるのか、本格的に動き始めたのです。
そこで現場でのヘアカットの現状を知りました。「伸びているから切ってほしい」「生前の髪型はこんなんだったんだけど、、、」とお願いされることも多く、資格・技術のない方はハサミで長さを切るだけ。それを見てより強く感じた事は、整えてあげたい。お客様にも最後ぐらいは長さを切るだけではなく髪の毛を綺麗に整えてから見送ってほしい。見送ってあげたいという声が多かったそうです。
ミライのカタチ
現場での修行を終え、本格的に「美還師」としての仕事をスタートした福島さん。お父様も自分の葬儀がきっかけで、見送る側にも見送られる側にも喜ばれる、「美還師」という新たな道を進んだ福島さんを見て喜んでいるのではないでしょうか。また、自分の最期、大切な方の最期を考える事が多くなった今、きっとこれからもっと多くの方に必要とされるのではないでしょうか。
【担当者の一言/福島さん】伸びている髪の毛も綺麗にしてあげたい!何か最後にしてあげたい気持ちのご家族様が現場では伝えにくくても心に湧き上がる想いの方は多くいらっしゃるだろうと思いました。経営していたお店でアンケートを実施しましたら、ほとんどの方がエンゼルカットをして欲しいとおっしゃっていました。ただ、サービスが無いのが現実でしたので、これからも喜ばれるサービスを提供して行こうと思いました。
【取材後記】福島さんがお父様の髪の毛を整えたことにより、お父様はとても喜ばれたのではないでしょうか。お父様の葬儀から始まった新たな挑戦、送り方、送られ方の選択肢の一つとして「エンゼルカット」はこれからたくさんの方に知っていただきたいと思いました。